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2009年02月 アーカイブ

2009年02月03日

「ブッダ」手塚治虫 全12巻

評価:5/5(素晴らしい)

かつてないほど肉体的に辛かったので、「こ、これを乗り切るために!」と大人買いした本。こういうときは必要な本が分かるもので、本屋に行く前は何を買うやらはっきりしなかったけど、本屋に行ったら目が離せなくなった。

それでも買うときは「聖お兄さん」の復読本のつもりだったんだけど、うーん、しんどいときに読むと「うわー」と思った。あのとき読んで良かった。イライラしたり、希望の打ち砕かれっぷりが辛かったりはしたけど。

この描き方は、手塚が医師であったことが関係あるんだろうなあ、と思って、どれくらい医師やってたのか知ろうと思ったら18のときにデビューしてた。医学部が漫画家をやりながら卒業できるものであったとは初めて知った。

なんというか、病なり苦しみなり戦なり、そのようなものについて現在言われてる言説は多々有れど、アイディアなりは結局のところブッダの時代と変わらなくて、「答え」だと言われているものはブッダが取り組んで挫折したものなんだろうなぁ、と思った。クラス社会とヒンズーのカースト違いが私には分からない。人種差別も、人間を動物や植物に比べて特別だと思うこともそう。

でも、「答え」なんてあったら、それはむしろ困るのであって、答えがないってことが「答え」で、だから繰り返しでいいんだと思う。

しかし、ラーフラくんはかわいそう。むしろブッダよりラーフラくんがすごいと思ってしまった。ヤシャラダさんも。

「火の鳥」手塚治虫 全13巻

評価:5/5(素晴らしい)

これも「ブッダ」と一緒に大人買い。自分で買いながら「「火の鳥」を読みたいっていう精神状態なら大丈夫だろ」と思った。実に素晴らしく、いくつもの連載をしながら、ライフワークとして火の鳥を描き続けた手塚はやはりおかしいと思う。平行して描けるようなものには思えない…。

日本でマンガって文化の隆盛があったのは手塚治虫がいたからなんだろうなあ、と思った。

未来ものと歴史ものが交互に語られる構成なんだけど、歴史ものを読んでるとたびたび気が遠くなってきて内容があたまに入らず、「ああ、私って本当に歴史がダメだなあ」と思った。これで嫌いなら救われるのかもしれないけど、歴史が好きなのがまた悲しい。

私の好みは、以下のような感じです。

未来編=太陽編>鳳凰編>復活編

それぞれの感想

黎明編

それなりにすきなんだけど、だから何ってわけでもない作品。

未来編
手塚のいいたことをストレートに勤め込んだ、雄大な作品と言う感じで好き。ストレート過ぎるかな、とは思う。

ヤマト編
なかなか好きだけど、だから何ってわけでもない作品。

宇宙編
きっと考えればいろいろと矛盾があるんだろうなぁ、と思うんだけど、そんなことはどうでもよく、宇宙のなんともいえない感じが好き。  

鳳凰編
これは歴史モノにしてはかなり好き!「ブッダ」と通じるところのある作品。ただ、未来編で描いてたようなものがなく、通俗的な面だけに落ちてる気がする。だから分かりやすいんだけど、それは「火の鳥」と冠する意味はあるのか?と思う。

復活編
ロビタ大好きなので、もちろん好き!ラブは素晴らしいでしょう。テーマは難しく、まだ自分の中で処理できない。

羽衣編
なんとなくかなり好き。  イイハナシなうえに描写がおもしろい。

異形編
中高生のころに一番読んだ話。読み過ぎたせいか今読むと「あれ?」と思ってしまった。

望郷編
いいはなしだとは思うんだけど、どうしてもムーピーの描写に生理的嫌悪を感じてしまう。

乱世編
…まともに読めたことがないと思う。いつも常に途中で挫折する。

生命編
通俗的だけどおもしろくて好き。ただ、ナメクジ、ロボット、ムーピーとの混血などを描いたあとに、クローンというのは「そこまでしないと伝わらなかったのか?」と思ってしまう。ただのそういう表現手法である気もする。

太陽編
難しさとおもしろさの混ざり具合が絶妙で、手塚治虫らしい!!なんでも使いようで、人の心次第。私の中の順位では、未来編と甲乙つけがたい。

  

「MW」手塚治虫 全2巻

評価:3/5(普通におもしろい)

手塚治虫大人買いのにて「映画化」という言葉につられて買いました。

「火の鳥」とは反対側の手塚の側面が出たノワールっぽい作品で、「この作品をなぜ今映画化したいのか?」とものすごく悩んでしまった。女装やゲイ、陰謀、猟奇的な描写はあって、そういうのが受けるって思われたのかな、と思うんだけど、正直、手塚の作品としてそこまでいいものとは思えない。奥深くの問題意識的部分があって、そこに突き動かされて描いてるように思うんだけど、MWだけ読んでその意識がつかめるかというとまず掴めないように思う。

下手につくると「え?」ってくらいの低俗な作品になりそうだし、哲学的にしようとすると今度は余計な部分が多すぎるように思った。この作品は、たぶん、「ネオ・ファウスト」に続くんだと思っていて、あれは「天才手塚の苦悩」というカンジの「読みたい人だけ読むべし」という本に思えたので、映画化という一般向けのものにあまり向かないのかな、と思った。

「SUGAR」全8巻「RIN」全4巻 新井英樹

評価:5/5(素晴らしい)

しんどくって精神的にテンパってるときに読んだのですが、そういうときに読むと覿面に効いて、ハイになれる。疲れててヤバいんだけど、頑張りたいみたいなときに読むといいです。

色んなものを削って削って、エロやグロや、とにかく生命にとって根源的なものから自分を震いたたせる、但し才能があるならね、という感じの作品です。あんまり似たような作品を思いつかない。

作者がボクシングと主人公を好きすぎて、他のエピソードがボクシングや主人公のオマケに過ぎないあたりに「もっと大事にしてやってよ!ラブだって生きていくには重要よ!○○くんも頑張ってるよ!」とそんなことを言いたくなった。

エログロはなかなかキツイので、苦手な人は注意です。エロもグロもエログロもあったと思いますです。

2009年02月05日

「臓器農場」帚木蓬生

  

評価:3/5(普通におもしろい)

本書に代理ミュンヒハウゼン症候群の母親が出て来る、ということで読みたくなって買ってみました。著者にしては読みやすい作りで、重いテーマをリーダビリティを確保して読ませるすべはさすが!と思いました。

軽く読んでしまえる話でもあるのですが、いろいろと考えると袋小路に入りそうな問題が多く含まれているなぁと思いました。